韓国のSACOMという人権団体が、ユニクロの工場に労働者として潜入し、労働環境の取材を行った。詳細はこの記事が伝えている。
ユニクロの工場の労働環境の劣悪さや、ユニクロが工場にかけるプレッシャーの悪質さは、以前から色々な記事や書籍が指摘している。(例えば、横田氏の『ユニクロ帝国の光と影』。) 今回の潜入取材については、しかし、韓国の団体がそれを行っているという点が私にとっては新鮮だった。というのも、こうした運動は、アムネスティ・インターナショナルのようなアメリカの団体の専売特許だと漠然と思い込んでいたからだ。そうではなく、アジア圏にも、立派に人々の人権を守るために闘う団体があった!
こうした団体の存在の大きさはなんともいえない。企業にとって、労働者を救済するために動く第三者機関というものは、無言の圧力となる。例えば、企業が労働者に過酷な条件で労働をしてもらおうか迷っているとき、こうした人権団体が存在しない場合はかなり無理を強いることができる。対して、労働者が個人的にいつでも企業を告発できるような環境では、企業側も労働者の個人としての生活を尊重しなければならなくなる。
もちろん、企業側もあれこれ手を回して自分たちの実態がばれないように努力はしている。例えば、横田氏によれば、ユニクロは同じ工場を長く使うのではなく、かなりの短期間で契約相手を変え続けるという。そして、ユニクロと契約をした工場は、その名前や所在地が簡単にはわからない、いわば秘密にされてしまうということも指摘されている。
ユニクロに限らず、中堅や大手企業も、例えば意識調査アンケートを新米の無知で志の高い社員やパートさんに書かせたりして、本当に苦労している労働者の声が人権団体まで届かないように工夫している。
大手企業の労働環境を淡々と批判する団体がアジアの内部に存在するという事実は、日本で働く労働者たちにとっても元気付けられることだ。悪質な企業ほど、労働者を互いに孤立させる術を心得ているもので、会社の内部から何かを要求しようとしている労働者は苦しい思いをするものだが、こうした団体があるおかげで、かれらは自分が孤立していないということを確信することができるし、何かを会社に対して要求する際に、こうした団体を背景により効果のある圧力をかけることもできるだろう。